国連システムとは:目的、活動、お金のまとめ【基礎知識】

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  • 国連は、何を目指して、どのような役割があるの?
  • 国連システムとは?
  • 国連システムの主な活動は?
  • その活動を支えるお金の流れは?

という疑問に答えます。

この記事を読むと、国連の設立経緯、目指すもの、組織、そしてそれを支えるお金の流れがわかります。

国連とは?

国連(国際連合)は、第二次世界大戦を防げなかった国際連盟の後を受けて、二度とこのような大きな戦争を起こしてはいけないという反省に基づき設立されました。

国連憲章

「国連憲章」には、その目的を原則として、国際の平和と安全を維持すること、国々の友好関係を発展させること、経済的、社会的、文化的、人道的な国際問題を解決すること、人権、性、言語、宗教の差別なく、すべての人びとの人権および基本的な自由を尊重することを定めています。

国際連盟では国際平和のみを重視しましたが、国連では経済、社会、文化などの国際問題の解決も含んでいます。

設立・加盟国

国連は1945年10月に51ヵ国の加盟国で設立されました。今でも、毎年9月中旬に国連総会が行われています。日本は1956年に80番目の加盟国となりました。近年では、世界で一番新しい国である南スーダンが2011年に加盟し、現在の加盟国数は193ヵ国です(2020年9月19日現在)。

常任理事国

国連の設立はアメリカ、イギリス、ロシア(当時のソ連)、中国、フランスのいわゆる第二次世界大戦の連合国の5大国が中心であり、この5カ国は安全保障理事会の常任理事国となっています。

これらの国々は、安全保障理事会の重要な会議の決議に「拒否権」が与えられています。拒否権は、需要事項について反対投票をして決議を否決する権利です。

公用語

国連では英語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語、アラビア語の6カ国語が公用語として話されています。(注2)

本部

国連の本部ビルは、アメリカのニューヨークにあります。

国連本部

国連の目的4つ

  • 国際平和および安全を維持すること
  • 諸国間の友好関係を育てること
  • 国際問題の解決と人権尊重の促進に協力すること
  • 各国の行動を調和 させるために中心的役割を果たすこと

国連は世界政府ではなく、法律も作りません。しかし、国際紛争の解決を助けたり、私たちすべてに影響する事柄について政策を決めたりするための手段を提供しています。

国連がこうした活動を行う場合、すべての加盟国には、その国の大小や貧富、政治的意見や社会制度の違いに関係なく、平等な発言権と投票権があります。国際問題の取り組みにあたっては、国連は、全世界的な相互依存関係と国益とのバランスを取る機会を各国に与えています。

国連システムは人権尊重の促進、貧困の削減、疾病への対策、さらには環境の保護に努めています。また、薬物の不正取引やテロに取り組む国際的キャンペーンも、先頭に立って進めています。(注1)

国連システムの組織

国連は、国連憲章のもとで定められた総会、安全保障理事会、経済社会理事会、事務局、国際司法裁判所、信託統治理事会の6つの機関が主要機関になります。(信託統治理事会は、機能としては存在しますが、活動休止中です)

広い意味では、国連の下部組織、専門機関、その他の関連機関を含めて、「国連システム」または「国連ファミリー」と呼ばれています。

国連システムの概略図
[出典]国際連合システムより筆者作成

補助機関

補助機関は設立が総会で決められ、直接総会に報告する組織です。例えば、軍備縮小や人権といった重要テーマの委員会や、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)、国連児童基金(UNICEF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの機関があります。

専門機関

専門機関とは、経済、社会、文化、保健などさまざまな分野から国際協力を行うために設立された国際機関で、国連と連携協定を結んだ機関のことをいいます。国連食糧農業機関(FAO)、国際労務機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行グループ(WB)、などがその例です。全部で15機関あります。

その他関連機関

国連との連携協定は結んでいませんが、密接に連携している国際機関もあります。例えば、国際原子力機関(IAEA)、世界貿易機関(WTO)などです。(注2)

国連システムの主な活動

詳しい説明は割愛しますが、国連広報センターでは主な活動として以下を紹介しています。

国際の平和と安全

  • 紛争予防
  • 平和維持
  • 強制措置
  • 平和構築
  • 選挙支援
  • 開発による平和構築
  • 平和のための行動
  • 軍縮
  • 宇宙空間の平和利用
  • 植民地の独立

経済社会開発

  • 開発活動の調整
  • 持続可能な開発
  • 経済開発
  • 社会開発
  • 国連防災世界会議

人権

  • 人権文書
  • 人権関係機関…人権理事会、国連人権高等弁務官
  • 人権の促進と擁護
  • 差別との闘い
  • 司法の運営

人道支援

  • 人道支援活動の調整
  • 人道支援と保護
  • パレスチナ難民等の難民の保護と支援

国際法

  • 紛争の司法的解決
  • 国際法の発展と法典化
  • 国際商取引法
  • 環境法
  • 海洋法
  • 国際人道法
  • 国際テロリズム
  • 国際刑事裁判所

人間の安全保障

市民社会との連携 (注6)

国連の予算と分担金

国連予算の主な財源は加盟国による分担金です。加盟国 193カ国が、国連のあらゆる活動の資金を払っています。 (注1)

2020年の国連の予算額は、2,866.80百万ドル(約3000億円)です。 分担率は、加盟国の支払い能力に基づいて決まります。全世界の国民総生産に占める加盟国の割合を出し、国民1人あたりの所得など、多くの要因を考慮して決まります。(注5)

2020年の分担率は1位のアメリカ、2位の中国についで、日本は3位で240.2百万ドル(約250億円)を拠出しました。(注4)

加盟国の国連通常予算分担割合 2020年
[出典]2018~2020年国連通常予算分担率・分担金

次の表を見ると、上位20ヵ国だけで国連予算の84%を負担していることが分かります。

加盟国の国連通常予算分担割合 2020年
[出典]2018~2020年国連通常予算分担率・分担金

このような国連への貢献から、JPO (Junior Professional Officer)制度などで日本人が働きやすい仕組みがあります。

まとめ

  • 国連は第二次世界大戦の反省から設立されました。国連憲章には、国際の平和と安全を維持すること、国々の友好関係を発展させること、経済的、社会的、文化的、人道的な国際問題を解決すること、人権、性、言語、宗教の差別なく、すべての人びとの人権および基本的な自由を尊重することを定めています。
  • 国連の目的は次の4つです。
    • 国際平和および安全を維持すること
    • 諸国間の友好関係を育てること
    • 国際問題の解決と人権尊重の促進に協力すること
    • 各国の行動を調和 させるために中心的役割を果たすこと
  • 国連システムは、主要機関、補助機関、専門機関、その他関連機関などから構成されています。
  • 国連システムは主な活動として、国際の平和と安全、経済社会開発、人権、人道支援、国際法、人間の安全保障、市民社会との連携などに取り組んでいます。
  • 活動を支える資金は、各国の分担金からまかなわれています。日本は1位のアメリカ、2位の中国に次いで、3位の拠出国です。2020年の国連通常予算は約3000億円で、このうち、日本は240.2百万ドル(約250億円)を拠出しました。

出典

(注1) 国連のここが知りたい

(注2) 世界で活躍する仕事100 ―10代からの国際協力キャリアナビー(東洋経済新報社、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2018年7月19日発行)

(注3) 国際連合システム

(注4) 2018~2020年国連通常予算分担率・分担金

(注5) 国連の予算

(注6) 国際連合広報センター 主な活動

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