WHOで働くには:仕事内容、応募方法・倍率【クチコミあり】

UN
  • WHOでの仕事内容は?
  • 職員に求められる要件は?
  • 応募方法は?
  • WHOの職員さんの声を知りたい!

の疑問にこたえます。

中国には「下医は病を治し、中医は人を治し、上医は国を治す」という格言があります。

病気そのものを治すような医者、病気を抱えているその人を診る医者がいるように、WHOでの仕事は人々が生活している国を治すことです。

この記事を読むと、WHO(世界保健機関)での仕事内容、求められる要件、応募方法がわかります。そして、最後にWHOで働くことについて、クチコミを紹介しています。

数字で見るWHOの概要

  • 加盟国:194カ国
  • 事務所:150以上のカントリーオフィス, 6つの地域オフィス, 1つの事務局
  • 職員数:7,000人以上
  • 設立年:1948年4月7日(日本は1951年に加盟)
  • 収 入:3166百万USD (3,324億円、1ドル105円換算、2019年)
  • 事業支出:3022百万USD (3,173億円、1ドル105円換算、2019年)

▽WHOの活動内容、組織、収支などについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

WHOでの仕事・要件

活動分野・仕事内容

  • 国際保健事業の指導的かつ調整機関としての活動
  • 保健事業の強化についての世界各国への技術協力
  • 感染症及びそのたの疾病の撲滅事業の推進
  • 医学情報の総合調整
  • 保健分野における研究の促進・指導
  • 生物学的製剤及び類似の医薬品、食品に関する国際的基準の発展・向上
  • 健康関連SDGs目標に到達するために各国を支援 (注3)

上記の活動の一環で、病気予防や対策のガイドライン作成、各国の保健医療にかかわる法律をつくる援助など高い専門性がもとめられるため、医師や博士号を取得した専門家が多く働いています。

求められる要件

応募ポストによりますが、WHOで求められる主な要件はこちらです。(注2)

  • 修士号(医学、獣医学、農学、公衆衛生学、法学、医療政策、開発学、国際関係学など。医師、看護師、薬剤師の資格が有利になることもあり。)
  • 社会人経験2年以上
  • 英語もしくはフランス語で流暢にコミュニケーションできる
  • 健康福祉の問題にnationalもしくはinternationalレベルで携わった経験があると望ましい。

WHOへの応募方法

主な応募方法は、3つあります。①厚労省やWHO協力センターからの出向→採用試験、②JPO制度、③空席公募です。

厚労省やWHO協力センターからの出向→採用試験

厚生労働省の医系技官(医師免許・歯科医師免許を持つ技術系行政官)になると、厚労省からWHOへの定期的に出向人事があります。もしWHOでの仕事を気に入れば、WHOの採用試験を受けて、もし受かれば厚労省を辞めて、WHOに就職する方法があります。

厚生労働省の医系技官とは、医師免許を持つ技術系行政官のことです。省内や地方自治体、WHO(世界保健機関)などの海外の関連機関で医療や健康に携わるポストを担い、その専門性を生かして医療現場の課題を政策に落とし込む役割です。

また、WHO協力センターからWHOへ派遣される場合もあります。WHO協力センターは、国立感染症研究所や国立国際医療研究センターなど36か所です。

国連での人脈をつくり、同僚などから選考対策を教えてもらったうえで、応募できるため有利といえるでしょう。

JPO制度

JPO試験の「外務省選考枠」での応募となります。倍率は5~7倍ほどです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

空席公募

もっとも一般的な応募方法です。2010年10月3日時点では、WHO事務局で25つ、コンゴで4つ、イラクで4つ、アメリカで4つのポジションの募集があります。募集枠数や専門性の希少さにもよりますが、全世界での競争となりますので、倍率は時に100倍になることもあるといわれています。

▽WHOの空席情報はこちら

Job Search

WHO職員までのキャリアの例

WHO契約職員にいたるまでのキャリアの例を紹介します。(注2)

  • 臨床医師 → NGO → 公衆衛生大学院修士 → WHO契約職員
  • 臨床医師 → 公衆衛生大学院修士 → JICA専門家 → WHO契約職員
  • 公衆衛生大学院修士または博士 → WHOインターンやJPO → WHO契約職員

WHOで働くとは

国連フォーラムの「国連職員NOW!」から、国連職員で働いている人のインタビューを紹介します。役職はインタビュー当時のものです。

なぜWHOで働くことを選びましたか?

岩尾 總一郎さん(WHO健康開発総合研究センター所長)
岩尾 總一郎さん(WHO健康開発総合研究センター所長)

1人でもより大勢の人々を対象にして働きたいとなると、日本という枠を超えて60億もの世界人口を対象にしたほうが自分のやりたいことができるのではないかと思うようになりました。(注5)

一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)
一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)

私は寄生虫学、昆虫学が専門で、それらが引き起こす熱帯病の研究をしていました。人類と昆虫が媒介している病気との闘いに興味があって、その中でも特に熱帯地における闘いにたいへん興味がありました。…熱帯病というものを一度知ってしまったからには、熱帯地に行きたくなってしまったのです(笑)。そして、熱帯地における病気を通した人類と昆虫との闘いに携わるにはWHOだと思ったわけです。(注6)

藤井 まいさん (WHO事務局長室 国別支援課専門官)
藤井 まいさん (WHO事務局長室 国別支援課専門官)

決め手となる大きなきっかけはないのですが、一つは経験を通して視野が広がっていったという点、もう一つは、子育てや夫の転勤の随伴等で一つの仕事を長く続けられる見込みがない中、国連への就職を選択したという点です。(注7)

仕事の魅力・やりがいは何ですか?

一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)
一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)

最大の魅力は、「底上げ」です。個々の病気を今日治しても、明日また同じ病気に罹ってしまうかもしれません。しかし、個人ではなく地域の底を上げれば、全体として罹患する人が少なくなるのです。いうなれば、病気を治すのではなく、病気にかからないようにすることを目標にしています。(注6)

藤井 まいさん (WHO事務局長室 国別支援課専門官)
藤井 まいさん (WHO事務局長室 国別支援課専門官)

一つには190か国以上の加盟国がある中でのカバーするエリアの広さ、もう一つはどこの国にも属さない中立性です。特に昨今は世界規模の問題に協調して取り組むための目標が明確になり、国連の役割は大きいと思います。

もう一つ挙げるなら多くの人との出会いでしょうか。日本人に限らず多くの来訪者にお会いする機会があります。…必死で働いている若者を見かけたり、優秀でありながら子育てに専念している女性に出会うことがあります。このような体験は日本ではなかなかできないことです。(注7)

苦労したことは何ですか?

岩尾 總一郎さん(WHO健康開発総合研究センター所長)
岩尾 總一郎さん(WHO健康開発総合研究センター所長)

WHOにおいても、皆様の職場でもそうだろうと思いますが、職員の出自、お国柄によって取り組む姿勢に差があると思います。日本の職員は極めて優秀だと思います。そしてぎりぎりまで頑張ってくれます。また、国籍の異なる職員に仕事を指示するとき、どう正確にこちらの意向を伝えるのかという難しさは常に感じています。(注5)

一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)
一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)

WHOは193カ国(当時。今は194カ国)の合意から政策を作り、それが各国に伝わります。ですが、国には国の政治や特有の事情があるので、完全に噛み合わせることは困難と言えます。その国や現場で使えないもの、合わないものは、こちらで調整しなければなりません。全世界共通で使えるものなど存在しません。アフリカを想定して作ったものをアジアで使うことは基本的には無理なのです。ですから、何事もその場その場で合わせていかなければなりません。常に核として持っている自分達の政策と技術を最大限に活かしながら取り組む必要があります。非常にたいへんですけどね。(注6)

WHOで働く人の雰囲気はどのような感じですか?

宮城島 一明さん (FAO/WHO食品規格委員会事務局長)
宮城島 一明さん (FAO/WHO食品規格委員会事務局長)

国連でも機関ごとに性格が異なりますね。私はWHOとFAOで仕事をしましたが、個人主義が強いのはどちらかというとWHOのほうかも知れません。スタッフ一人ひとりの独立精神が非常に旺盛で、良くも悪くも、一国一城の主という気概があります。対してFAOはWHOに比べると日本的なファミリ-意識があって、みんなでチームワークを持ってやろうという雰囲気があります。節目節目にみんなでお酒やジュースを飲んだりという集まりはFAOのほうが比較的あります。(注4)

国連を目指す方へのメッセージ

岩尾 總一郎さん(WHO健康開発総合研究センター所長)
岩尾 總一郎さん(WHO健康開発総合研究センター所長)

どのような仕事でもそうだと思いますが、仕事をするためには、まずは自我が確立していなければならないと思います。国際機関にまず行きたいというのではなく、自分が何をしたいのか何ができるのかをしっかりと考えて欲しいと思います。例えば、われわれはまず人々の健康をよりよくしようという目的があります。そしてそれを達成するために自分はどうしたいのかどういうアプローチで行いたいのか、そういう考え方が必要です。(注5)

宮城島 一明さん (FAO/WHO食品規格委員会事務局長)
宮城島 一明さん (FAO/WHO食品規格委員会事務局長)

幸いなことに今は日本も雇用関係が流動化してきましたよね。国連は特別なものではなくなったのでないでしょうか。

また、英語に加えてフランス語かスペイン語、どちらかができたほうが色々なところで得をするかもしれません。言語は大切ですからきちんと鍛えられたほうが良いと思います。(注4)

一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)
一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官)

私はいつもこの仕事を人類の視点で考えています。…地球が丸いように、一国で始まった金融危機が世界中に広がるように、地球はつながっています。良くも悪くも人類はつながっているのですから、人間同士で戦っている場合ではないのです。人類は皆同胞、そういう視点で考えることがとても大事だと感じます。そして、異文化の人々と何かをするときも、我々はどこでつながっているのだろうかと常に考えることで、より良い人間関係を築いていくこともできると思います。(注6)

出典

(注1) About WHO

(注2) 世界で活躍する仕事100 -10代からの国際協力キャリアナビ-

(注3) WHOは何をしているの  日本WHO協会

(注4) 宮城島 一明さん (FAO/WHO食品規格委員会事務局長) 国連職員NOW!

(注5) 岩尾 總一郎さん(WHO健康開発総合研究センター所長) 国連職員NOW!

(注6) 一盛 和世さん(WHOジュネーブ本部専門官) 国連職員NOW!

(注7) 藤井 まいさん (WHO事務局長室 国別支援課専門官) 国連職員NOW!

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